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離婚後における養育費の支払い期間は長くなることが多く、継続して安定的に養育費が支払われることは、子どもの監護養育において重要となります。
そのため、父母で契約した養育費の支払いが遅れたときには裁判をしなくても債務者の財産を差し押さえられる公正証書を活用して父母間で養育費の支払い契約を定めることが行なわれています。
父母間で取り決められる養育費の支払い終了時期は、一般には「子どもが20歳になる月」又は「子どもが高校卒業後に大学などの学校教育すべてを終了する月」が想定されます。
離婚時における子どもの年齢によって養育費が支払われる期間は異なりますが、毎月の養育費は、子どもを監護する親には重要な生活資金の一部となります。
そうしたことから、養育費は継続して支払われることが想定されるのですが、現実には養育費の支払継続率は芳しい状況になっていません。
長期におよぶ養育費の支払いは、開始から数月又は数年は続いても、約束した期間の途中で支払い額が支払い者によって勝手に減額をされたり、完全に支払いが止まることが起こっています。
また、そもそも離婚時に養育費の支払いが取り決められていないケースもあります。
離婚後に養育費が支払われなくなると、監護親から内容証明郵便による養育費の支払い請求や家庭裁判所に調停等の申し立てが行われます。
現状では、継続して養育費が支払われている割合は低くなっています。
養育費の支払いを受ける監護親は、約束した養育費を安定して受け取りれることを望むことになり、その対応として離婚 公正証書を利用して養育費の支払い契約を結ぶことも行なわれています。
養育費の支払いは、離婚した後も、子どもが自立できるまで長く続きます。
できるだけ安全に養育費が支払われ続けられるように公正証書が利用されていますが、その理由は、公正証書に備えることが可能な「特別な機能」にあります。
離婚の公正証書は公証役場で作成される公文書となり、行政書士又は弁護士が作成する離婚協議書とは性質的に異なる証書になります。
機能上における最大の違いは、公正証書でお金を支払う契約をすると、その支払いが遅れたときに、債権者は裁判をしなくても債務者の財産を差し押えることが可能になる点になります。
公正証書と違って離婚協議書では、定めた支払い契約に違反が起きても、それに対して裁判により確定判決を得なければ、債務者の財産を差し押さえることはできません。
こうした強制執行にかかる特別な機能を公正証書に備えられることが可能になるため、お金を支払う契約をするときは、支払いの安全を高められる公正証書が利用されます。
また、公正証書を利用して養育費の支払い契約をするだけで、差し押さえしなくても、債務者に対して契約を守らせる心理的プレッシャーをかけることになります。
離婚するときに養育費の支払い約束などを公正証書に定める場合は、父母が公証役場へ出向いたうえで、定められた手続きを行ないます。
公証役場は、各都道府県に設置されている役所になり、都合のよい公証役場を選んで、養育費の支払い契約などを公正証書に作成することに利用できます。
養育費の支払いなどについて契約する父母は、支払い条件などを具体的に決め、それを公証人の面前で確認し、公正証書原本に署名と押印をして公正証書を完成させます。
何らかの事情によって本人が公証役場へ行くことのできないときは、その本人は事前に代理人を指定し、その代理人によって公正証書の手続きを行なうことも可能です。
なお、代理人を指定する場合は、公証人から事前に承諾を得ておきます。
公正証書を作成するときは、公証役場へ『公証人手数料』を納めなければなりません。
公証人手数料は、公正証書において契約する金額に応じて算出されることになり、契約する対象金額が大きくなると、階段状に高くなる仕組みになっています。
養育費の月額を12倍(1年換算)して、支払い年数から契約総額を算出します。なお、養育費の支払い期間が10年を超えるときは、10年までとなります。
(例えば、子ども一人で養育費を月額5万円で12年間支払う契約をする場合)
5万円×12か月×10年(上限)=600万円(契約額)
500万円を超え1000万円以下の公証人手数料は17000円となります。
このほかに公正証書の用紙代、交付送達の手数料などに数千円かかりますので、合計で約2万数千円の公証人手数料となります。
公証人手数料は、公証役場で公正証書を完成させて公正証書を受け取るときに現金で納付することになります。
公正証書の作成費用はいくらか?
父母が離婚することで、その子どもは、父母の共同監護体制から父母の一方による単独の監護体制に移行します。
子どもを監護する側となる親は、子どもの世話を毎日することになり、必要に応じて、教育又は医療を施すことになり、そのためにお金を使うことになります。
離婚をしても親子の関係は消えませんので、子どもが経済的に自立できるまでの間、父母は子どもの監護養育費用を負担する義務が法律上で存在します。
したがって、監護する親側だけではなく、もう一方の非監護親も、子どもの監護養育費を負担する義務があります。
養育費とは、子どもの監護養育に必要となる費用を父母で公平に分担することを目的として、非監護親から監護親に支払われる分担金になります。
なお、原則として親権者になる親は監護者を兼ねることになりますので、非親権者が養育費を負担して支払うことになります。
養育費の使用目的としては、子どもの日常的な衣食住にかかる生活費を中心に、教育、医療、娯楽などの費用になります。
実費を清算して負担するのではなく、定額の毎月払いが基本的なスタイルです。
養育費の月額は、父母の収入及び資産をもとに、監護養育費について父母双方の負担が公平になるように定めます。
父母の話し合いにより、自由に養育費の月額など条件を決めることができます。
ただし、父母だけでは養育費を決められないときは、家庭裁判所の調停又は審判を利用して支払い条件を定めることも可能です。
父母の話し合いでは、婚姻中の生活水準を踏まえて養育費の月額を決めることもあれば、家庭裁判所で使用される「算定表」を参考にして決めることもあります。
養育費の支払い条件を考えるとき、裁判所で使用される「算定表」も参考になります。
養育費を毎月払いにすれば、養育費の支払いがすべて終了するまでの間、父母の関わりは続くことになります。
しかし、父母によっては、そうした父母の関わりを離婚した後も長く続けることを避けたいと考えることもあります。
そうした場合の対応として、父母の合意によって、支払い対象となる期間すべての養育費を一括して支払うこともあります。
基本は毎月払いとなる養育費ですが、一括払いとすることに法律上の制約は受けませんので、契約としても有効になります。
したがって、一括払いすることを公正証書に定めることも可能になります。
ただし、養育費の一括払いを受けた時点では、必要となっている養育費の金額を大きく超えることになるため、課税を受ける対象となる恐れがあることに注意します。
養育費の一括払いは、相当に大きな額となることから、そうした支払いが可能な親は数少なく、実際に採用される事例も少ないと言えます。
養育費の月額には教育費も含まれていますが、それは日常的な教育費用であり、例えば学校へ入学した時にかかる一時費用は通常は含まれていません。
また、養育費の算定表は、公立学校に通学することを前提としています。
子どもが私立学校に進学すば、公立学校よりも多くの費用がかかることが普通であり、毎月の養育費では不足する事態も考えられます。
このため、養育費の支払いに関する公正証書のひな型では、学校へ進学したときの一時費用の負担は、必要に応じて父母の間で協議して定めることになっています。
しかし、離婚した後に父母間で話し合って金銭負担を決めることは容易なことでなく、養育費の条件を定めるときに、具体の負担金額や割合を決めておくこともあります。
高校を卒業した後に大学、専門学校へ進学したときに要する費用はたいへん大きな額となりますので、父母で話し合って双方の負担額を決めることは大変なことです。
そのため、費用負担が生じる時期が到来する前に、適切な機会を見つけ、父母の間で話し合いをすすめていくことが必要になります。
また、大学等への進学に関しては、子どもの意思を確認することも必要になります。
大学等の進学費用
子どもが小さな病気、怪我をしたときに必要となる治療費は、社会保険の適用も受けられるため、負担額として大きくはなりません。
そうした費用は、毎月の養育費から支出することで足りることになります。
しかし、子どもが大きな病気にかかったり、急に大怪我をしてしまうと、その医療費の一時的な負担額は大きくなりますので、父母の間で話し合って負担を決めることになります。
もし、話し合いが着かないときは、家庭裁判所の調停を利用します。
父母の間で養育費の支払い条件を決めたときから年月が経過することで、養育費を算定する前提となった基礎条件が変わることがあります。
例えば、父母の収入が大きく変動したり、父母の一方が失業又は大病によって収入を全く失ってしまうこともあります。
また、再婚によって扶養家族が増えたり、扶養関係に変更の起きることもあります。
こうしたときは、「事情の変更」が生じたものとして、養育費の支払い条件を見直し、変更することも認められます。
もし変更を認めないと、監護養育費の父母間における負担が不公平な状態が続くことになってしまい、そうしたことは法律の趣旨にもそわないことになります。
たとえ、公正証書により養育費の支払い条件を定めた時でも、事情の変更によって見直しをしなければならないことがあります。
つまり、養育費は契約した後に変動する余地のあるものであり、そうしたことを知ったうえで養育費を考えなければなりません。
養育費の取り決めを父母間で行なうときに、「養育費を受取る側が再婚したときには、養育費の支払いを終了する」「養育費を支払う側が再婚をしても養育費を減額しない」ということを約束することもあります。
しかし、養育費の考え方としては、父母に事情の変更があったときには、双方の事情を踏まえて養育費の見直しを検討することになります。
父母双方の負担が公平になるように維持することを基本的な考え方としていますので、それに反する約束をしても、法律上の効果を得られないこともあります。
一方側の負担が大きくなったり、子どもの監護に支障を来す結果となる父母の約束は、法律上で問題になる余地を残します。
また、そうした法律上の考えにそわない取り決めを公正証書に定めることは、公証人に認められないこともあります。
養育費は、父母間における子どもの生活教育費の分担金になり、親権者が養育費を受け取る権利者となり、非親権者が養育費を支払う義務者になります。
一方の面会交流は、非監護親(通常は非親権者)が子どもとの面会を求める権利者となり、監護親(通常は親権者)が面会を認める義務者となります。
このように、養育費と面会交流は、父母の一方が権利者と義務者になり、他方は義務者と権利者となる関係にあります。
そして、この二つの条件は、ともに離婚時などに父母の間で定める事項になります。
そうしたことから、父母の間で子どもの監護に関する条件を話し合うときに、二つの条件を関連付けて決めようとすることも行なわれます。
たとえば、「養育費は支払わないので、面会交流は行なわない」「養育費の支払いが約束どおり支払われることを条件に面会交流を行なう」などというものです。
しかし、養育費の支払いも、面会交流の実施も、子どものために定める条件です。
そのため、父母間の交換条件として両方の条件を関連付けることは良くありません。
もし、公正証書にそうした交換的な条件として定めようとすると、公証人から注意を受けることがあります。
父母双方の収入などに応じて、子どもの監護費用を父母間で公平に分担するように養育費は定められます。
養育費の取り決めをした後に、父母の一方又は双方の事情が変わることによって、当初に決めた養育費の条件が不公平な状態になることも起きます。
例えば、養育費を支払う側が大きな病気をして仕事をすることができなくなれば、養育費の負担が重くなってきます。
また、養育費を受け取る側が離婚後に就職して高い収入を得られるようになれば、養育費の受取り額が多過ぎる状態になっていることもあります。
もし、子どもが重い病気にかかれば、監護者は仕事をすることに制約を受けて収入が減ることになり、さらに子どもの監護費用が増えることになります。
こうしたときは、負担が公平になるように養育費の条件を見直すことがあります。
したがって、離婚 公正証書に養育費の支払いを定めても、その後に契約が変更される可能性のあることにも注意しなければなりません。
そして、いったん公正証書に定めた養育費の支払い条件は、父母の双方ともしっかり守っていかなければなりません。
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