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示談書を締結する手続きでは、通常は「認印」が使用されます。
理屈としては、大事な示談契約では、印鑑登録されている「実印」を使用した方が本人確認の面で安全であると言えますが、不倫トラブルが起きている当事者同士が各自の実印を使用したうえで相手に印鑑証明書を渡すことには、双方ともに心理的な抵抗を強く持ちます。
そのため、不倫の示談書を交わすときに実印が使用されることは意外に少なく、ほとんどの事例では認印が使用されます。
大事な手続きにおける申し込み、契約をするときは、日本社会の慣行として、申込書、契約書に本人等が署名したうえで「印鑑」を押します。
インターネットを利用して電子上で取り引きを行なう場合は別として、書面を利用した手続きでは、今でも社会慣行として押印が意味を持ちます。
こうしたことから、誰でも複数本の印鑑を所有しており、ビジネスマンであれば鞄の中に一本の印鑑を入れていることは普通に見られることです。
申し込み、契約のときに本人の意思を確認する方法としては署名だけでも足りますが、署名に加えて本人の印鑑が押印されていることで、申し込み、契約に対する意思の確かさを確認できると考えられます。
不倫問題が起きたことで示談書を締結するときも、当事者の双方で示談書に署名と押印の両方を行ないます。
署名だけであれば何時でも可能ですが、印鑑は用意していないと使用できません。
そうしたことから、大切な契約手続には印鑑を用意しておくことが当然のことであり、契約書に押印のあることで本人の真意に基づく手続であることが認められます。
署名だけよりも印鑑も押印してある示談書のほうが、一般にも安心感を与えます。
印鑑は、文房具店に行けば誰でも容易に購入することができます。
また、購入に際して本人であることを確認しませんので、他人の名前の印鑑を購入することも可能です。
そのため、仮に契約書に本人の名前で押印されていても、それを本人が押印したことを第三者には判別できません。
しかし、大事な取引においては、契約後にトラブルが起きたときに契約書は証拠資料として重要な意味を持つため、本人で押印したことを確認できることが必要です。
そこで、通常は本人しか使用できないと認められる印鑑を特定できる公的制度があり、これが印鑑登録制度になります。
印鑑登録制度で登録した印鑑を「実印(じついん)」と言います。実印は、本人の住所登録地にある市区町村役所に登録された印鑑です。
そして、本人確認を目的として使用される実印は、本人で大切に管理されるものと考えられ、通常は本人以外は所持又は使用できない印鑑であると認められます。
ただし、使用された印鑑が実印であるかどうかは本人以外には判別できませんので、実印の使用に際しては、実印であることを証明する「印鑑証明書」を添付します。
そうして、実印を押印して印鑑証明書を添付すれば、本人が押印したと見なされます。
社会で実印は高い信用性があり、不動産の売買、金融機関とのローン契約など、重要な取引では必ず実印が使用されています。
実印は本人を確認する方法として使用される重要な印鑑になりますので、普段から実印を使用していると、実印の印影が第三者に知られることになり、実印のニセモノを作られて悪用される恐れがあります。
また、実印を持ち歩く機会が多くなれば、実印を紛失したり、盗難の被害にあう恐れも出てきます。
もし、他人に実印を使用されると、本人は大きな被害を被ることもあります。
そのため、取引き上で実印の使用を求められるとき以外、通常は実印を使用しません。
そこで、普段は実印以外の印鑑を使用しますが、この印鑑を「認印」と言います。
認印は本人を確認する方法としては弱いですが、銀行や保険会社などには独自の印鑑の登録制度があり、手続に使用する印鑑を指定することがあります。
この特定の銀行における預金取引で使用する印鑑を「銀行印」ということもあります。
認印は、新聞の契約、宅配便の受け取りなどの日常生活で使用されます。
そして、不倫問題の示談書の取り交わしにおいても、認印が使用されます。
日常的に印鑑を使用する機会を多く持つ人は、必要となる度に印鑑に朱肉をつけることが煩わしく感じます。
そうしたとき、インクを付けてワンタッチで押印できるシャチハタ印が利用されます。
シャチハタなどゴム印は、日常生活の範囲内で使用する分には問題ありませんが、大事な契約手続きで使用することは避けることが安全です。
ゴムを素材とする印鑑は、ゴムの変質、劣化によって印影が経年変化することになり、使用したインクが変色することもあります。
印影、色が変化していく印鑑は、一時的な使用にしか適さず、長期に保管する書面での押印に向かないものと言えます。
また、シャチハタ印は誰でも同じものを購入することが可能であり、大事な取引などで使用するには好ましい印鑑であると言えません。
公証役場で公正証書を作成する手続きでも、認印を使用することが認められますが、シャチハタなどのゴム印は使用することが認められません。
実印は信用度の高い印鑑であっても、普段から実印を使用することはありません。
それは、実印を使用すると押印した書面に印影が残りますので、悪用を考えている者に印鑑を模造され、交付した印鑑証明書と一緒に使用される恐れがあるからです。
そのため、普段には実印を使用する機会はなく、又、印鑑証明書を渡す相手は信用できる者だけに限られます。
印鑑証明書には、本人の氏名、住所のほか生年月日も記載されます。
印鑑使用者の本人を特定するうえでは申し分ないことなのですが、一般的な取引では個人に関する情報量が多過ぎます。
トラブルになった相手には自分の個人情報を開示したくないと考えることが普通です。
こうしたことから、不倫トラブルの当事者となった者同士で示談書を締結する際に、実印を使用して相手へ印鑑証明書を渡すことは、一般には行なわれません。
不倫慰謝料の示談書には、認印を使用することが一般的です。
なお、認印に関しては本人の所有する印鑑であることを証明できませんので、示談書には必ず本人自身で署名します。
認印による押印では本人が押印したことを第三者に証明できませんので、示談書に本人が署名することは欠かせない手続きになります。
したがって、示談する双方の住所と氏名を事前に示談書に印刷しておくことは避けて、本人が住所を自書したうえで署名を行ないます。さらに、認印で押印をします。
しかし、互いの面前で本人が示談書に署名等をしない限り、本人が示談書に署名等した事実を他方は確認することができません。
示談書を締結する手続きを郵送の方法で行なうことも多くありますが、この方法では本人が署名して押印したことを確認できません。
そのため、本人の住所地に示談書を送付したことで本人が署名したことを推認できるように書留郵便を利用して示談書を送付することが行なわれます。
示談書に記載した事項を訂正するときは、訂正箇所または欄外に訂正印を押します。
また、示談書が複数枚になるときは、各ページの間に契印を押します。
訂正印と契印は、二名で示談するときは二名の押印が必要になります。一方だけの押印では、双方で合意したことを確認できないからです。
こうした示談の手続における印鑑の使用法は、特別に難しいことはありませんが、手続における必要知識となりますので、事前に双方で確認しておきます。
不倫 慰謝料が高額になることで一括払いができず、分割払いを条件にして示談することがあり、そうしたときに公証役場で公正証書として示談契約をすることがあります。
公証役場では、公正証書で契約する本人を、運転免許証、印鑑証明書などの公的資料によって確認する手続きは、必ず行なわれます。
本人以外の者が公正証書契約に不正に関与することを防ぐためです。
このようなことから、公正証書で示談契約をするときには、印鑑による本人確認を気にしなくても、示談契約する当事者が本人であることが公証役場で証明されます。
書類に押印する方法は何も難しくありませんが、注意することもあります。
まずは、薄い印影、重ね押しなどは避け、所定の箇所に鮮明に押印します。
また、複数枚になる契約書では、各ページをまたぐ契印を押します。この契印は忘れることが多くあるようです。
そのこともあり、当事務所では、不倫の示談書はA4サイズ一枚に仕上げます。
そして、記載済の事項を修正して契約するときには、訂正印が必要になります。
訂正印の仕方については、ネット情報にもありますので、その場で訂正方法を調べて対応することも可能です。
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