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不倫している配偶者が家を出たとき
夫婦には同居して共同生活をする義務があります。配偶者に不倫関係となる異性ができると、その配偶者と不倫相手の関係が深くなったとき、不倫相手と同棲を始めるために夫婦で生活する家から配偶者が勝手に出て行ってしまうことの起きることがあります。
そうしたときに夫婦での同居生活を再開したいけれども、夫婦で話し合うことが難しいときには、家庭裁判所に同居の調停を申し立てることもできます。
不倫関係は短い期間(数か月)で終わることも多くありますが、数年にわたって不倫が発覚しないで継続することもあります。
そして、不倫関係にある男女が相当に親密となり、配偶者が家から出て行ってしまい、不倫相手と同棲を開始する事態に至ることがあります。
こうなったときに、不倫をされている側に直ちに離婚できない事情があったり、離婚に応じたくないときは、別居の状態が長く続くことになります。
配偶者を置いて家から出ていって不倫相手と同棲をすることは、夫婦に課される同居義務や貞操義務に違反する行為に当たります。
また、別居している期間に家庭へ生活費を入れない状況になれば、裁判上の離婚原因となる「悪意の遺棄」に当たることも考えられます。
不倫をしている配偶者の側は、自分で理性をコントロールできない状態になってしまい、法律上で問題となる行動であることを認識しながら、そうした行動をとってしまいます。
配偶者に家から出て行かれた側が離婚することもやむを得ないと考えれば、離婚に向けた協議を二人ですすめるか、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
また、離婚したくないときは、家から出て行った配偶者と話し合うか、家庭裁判所に同居を求める調停又は審判を申し立てることになります。
婚姻している夫婦に同居義務の課せられることは、法律上で明確になっています。
しかし、夫婦の一方が同居することを拒むときは、家庭裁判所に同居を求める調停、審判を申し立て、家庭裁判所から同居することを命じてもらう方法があります。
ただし、それでも相手が同居に応じないときは、相手に同居を強制させることは事実上で困難になります。
お金の支払いとは違って、同居することを強制する手段は家庭裁判所にもありません。
また、夫婦の関係を修復することが困難な状態にあると家庭裁判所が判断すると、同居請求が裁判所で認められないこともあります。
このようなことから、不倫相手と同棲するために家から出て行った配偶者を家に取り戻すことは容易なことではありません。
家庭裁判所に同居請求の調停を申し立てることもできます。
夫婦の双方が離婚することに合意できないときは、離婚したい側から家庭裁判所に対し離婚請求の調停、訴訟を起こす方法があります。
なお、原則として訴訟する前には調停を経ることが、法律制度上で定められています。
家庭裁判所で調停を行なうと、調停委員が夫婦の仲介をしてくれますが、夫婦が離婚することに合意しなければ、調停をしても離婚の成立とはなりません。
そうしたとき、強制的に離婚を求める方法は、ただ一つ裁判での離婚請求になります。
裁判で離婚請求が認められる前提として、相手側に法律で定める離婚原因のある場合、又はすでに夫婦の婚姻が破たんしている状態にある場合となります。
不倫をされている側は、相手に離婚原因がありますので裁判で離婚請求することができますが、不倫相手と同棲している側からの離婚請求は容易に認められません。
離婚原因をつくった側から離婚請求の裁判を起こすためには、いくつかの要件を満たさなければならず、高いハードルが設けられています。
落ち度のない側に離婚することを強制することは、正義に反すると考えられます。
不倫相手と同棲を始めたばかりの段階では、不倫をしている配偶者側から離婚の裁判を起こすことは現実には難しことになります。
このような法律上の仕組みから、不倫をされた側が離婚することに応じないときは、別居状態にある婚姻関係がしばらくは続くことになります。
不倫関係が始まったばかりの男女は熱くなっており、周囲がよく見えない状況になってしまうことも多く見られます。
異性と交際した経験の少ない方は、不倫すると熱中しやすい面があります。
しかし、男女関係の愛情は、時間の経過と共に徐々に冷めてくることが常です。
男女はいつまでも良好な状態ばかりが続くことはなく、このことは夫婦と同じです。
むしろ、不倫関係にある男女は現実から逃避するところから始まることもあり、同棲生活に入ることで現実に戻り、上手く関係を維持できなくなることも出てきます。
男女の収入が多くないときには、一方が婚姻していることで二重生活になることから、同棲生活を維持することが経済的にも大変となり、そうしたお金の問題から不倫関係が解消されることもあります。
不倫関係にある男女の熱が冷めてきたとき、落ち着いた男女関係として続くこともあれば、熱から冷めると同時に男女関係が解消されてしまうこともあります。
このようなことを知識や経験として知っている方は意外にあります。
そのため、不倫相手と同棲するために配偶者が家から飛び出て行ってしまっても、その時点で婚姻関係を続けることを断念して離婚するのではなく、いつか配偶者が家に戻ってくることを信じて待つ方もあります。
実際に、不倫関係による同棲が長く続かなくなり、不倫関係を解消して家に戻ってくる事例も珍しいことではありません。
婚姻関係を続ける夫婦は、その共同生活にかかる費用を互いに分担することが法律上で義務として定められています。
このことを婚姻費用の分担義務と言い、双方の収入などに応じて費用を分担します。
夫婦が別居することになっても、離婚の成立までの間は基本的に婚姻費用の分担義務は消滅しないと考えられています。
そのため、配偶者が不倫相手と同棲するために家を出て行ってしまっても、離婚が成立するまでの間は、不倫する配偶者の収入の方が多いとき、又は不倫された側が子どもを監護しているときは、不倫する配偶者側へ婚姻費用の分担請求をすることが可能です。
不倫を続ける配偶者にとっては、同棲生活を維持していくほかに、法律上の配偶者と子どもの婚姻費用を請求されると、通常では経済的に厳しい状況になります。
生活費を二重に負担する生活を長く続けることは困難となり、同棲する現状を冷静に見直す契機になることも考えられます。
なお、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求を申し立てるときは、請求した時からの婚姻費用しか認められない可能性が高いため、早目に請求手続きを起こすことが大切です。
配偶者と同棲している相手は、不倫をされている側に対し、配偶者として保護される権利を侵害する不法行為をしています。
もちろん、不倫している配偶者が夫婦に課される貞操義務に違反する不法行為をしているのですが、その不倫相手も共同不法行為責任を負うことになります。
そのため、不倫をされている側は、配偶者の不倫相手に対し不倫 慰謝料を請求することができます。
こうしたとき内容証明で慰謝料請求することがよく行われています。
こうした不倫慰謝料を請求するときは、それと合わせて配偶者との同棲を解消することも求めていきます。
ただし、同棲をしている事実は、相手側には不倫している事実を隠す意図がないことを示しており、同棲相手の配偶者から慰謝料請求又は同棲の解消を求められることは予期していることです。
そうしたことから、不倫相手に対して慰謝料などの請求をしても、それに対する反応は芳しいものとならない可能性が高いと言えます。
それでも、同棲相手が慰謝料などの請求に応じたときは、不倫に対する慰謝料の支払い、同棲を解消する誓約などを、不倫 示談書を作成して確認しておきます。
家を出て行ってしまっている配偶者に対して同居することを求めたいとのご相談をいただくこともありますが、残念ながら、こちらでは対応できません。
夫婦で話し合いが難しい状況であることから「内容証明郵便を送りたい」と言われる方もありますが、そうした対応で問題が解消できる可能性は低いと言えます。
家庭裁判所での請求をご検討いただくことになると考えます。ご心配であるときは弁護士にご相談してみてください。
不倫問題の解決に向けて配偶者の不倫相手との示談書を作成したいとお考えになられている方に、ご不安な点についてご相談しながら、専門行政書士が丁寧に示談書を作成させていただきます。
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