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法律で定める夫婦の義務

内縁夫婦の義務

夫婦は、互いに、法律で定められる夫婦間における義務を守らなければなりません。これは、内縁の夫婦であっても、法律上の婚姻をしている夫婦と変わりありません。

夫婦の間で協力してたすけ合う義務や配偶者以外の異性と性的関係を持たない貞操義務などは、内縁の夫婦にも課せられています。

内縁夫婦の義務

夫婦の関係にあると守らなければならい義務は、民法において定められています。

夫婦関係が円満であるうちは、当たり前のこととして問題にならないことなのですが、何らかの原因などによって夫婦関係が悪くなると、その義務も問題となってきます。

夫婦の間における基本的な義務として、同居協力扶助の義務があります。

夫婦である間は、同居をして共同生活をおくり、その中では、互いに経済面でもたすけ合うことが求められます。

夫婦が同居することは、共同生活をする夫婦として基本となる形です。

内縁には、法律上の婚姻関係と違い、夫婦関係を解消する法律上の手続がありません。

法律婚の夫婦は、どれほど長い期間、別居をしても離婚の届出又は家庭裁判所の手続きを経ない限り、夫婦関係が自動的に解消されることはありません。

一方で内縁の夫婦は、同居が解消されてしまうと、それに伴い夫婦関係も解消されてしまうことになりかねません。

そのようなことからも、内縁では同居をしていることは重要なことになります。

また、夫婦として共同生活をおくるために、生活に必要となる経済的負担についても、互いの収入に応じて分担することが義務付けられています。

内縁の関係が継続している間は、夫婦で生活費を分担する義務があります。

もし、生活費の支払いが行われないときは、配偶者に対し請求することができます。また、内縁の関係を解消するときに、未払いの生活費を清算することもできます。

同居協力扶助義務のほかに、夫婦の大事な義務として貞操(守操)義務があります。

夫婦は、互いに相手以外の異性と性的関係を持つことは認められていません。これに違反すると不法行為となります。

内縁夫婦の法律上の権利義務

同居協力扶助の義務

内縁であっても、法律で定められた義務を夫婦は守らなければなりません。

不貞行為のあったとき

内縁の夫婦においても、法律上の婚姻関係にある夫婦と変わらず貞操義務があります。

このため、もし内縁にある夫婦の一方側が、貞操義務に違反して配偶者以外の異性と性的関係を持つこと(不貞行為)は、民法上の不法行為に該当することになります。

不貞行為は、夫婦間の信頼関係を大きく損ねる原因となるものであり、その結果として内縁が解消することに至ってしまうことも少なくありません。

この場合、不貞行為をした側は、相手の婚姻への期待権を侵害したものとして、相手に対して損害賠償責任を負うことになり、慰謝料が支払われることがあります。

また、不貞行為をした配偶者の不貞相手も、故意または過失があったことが認められると、夫婦生活の平和を侵害したものとして不法行為が認められることになります。

そのため、不貞相手も、不貞行為をされた内縁の配偶者に対して不法行為を理由として損害賠償責任を負うことになります。

つまり、配偶者から不貞行為された側は、不貞行為をした配偶者とその不貞相手の両者に対して慰謝料請求をすることができます。

夫婦の一方側に不貞行為があっても、そのことで内縁関係の解消をしないときは、不貞相手だけに対して慰謝料請求することもあります。

不貞行為による慰謝料の金額は、不貞行為の行なわれていた期間、頻度、夫婦の期間、不貞行為で生じた被害の大きさなどを考慮して決められることになります。

被害者側が受けた精神的苦痛の程度で慰謝料額が評価されることが建前としてあるものの、当事者の話し合いでは、柔軟に慰謝料額が決められることも多くあります。

当事者の間による話し合いで慰謝料額などの条件が決まらないときは、訴訟による方法で慰謝料請求することになります。

なお、不貞行為を理由とした慰謝料請求は、重婚的内縁関係でも認められるものです。

不法行為の要件の問題

不貞行為が不法行為と認められるには、行為者側に「故意または過失」のあったことが必要な要素になります。

内縁の夫婦に起こる不貞行為では、配偶者の不貞相手に不法行為が認められるには、不貞相手が性的関係をもつ相手が内縁にある者であることを知っていたか、又は過失により知りえなかったことが要件となります。

法律上の婚姻関係にある夫婦と異なり、内縁関係にある夫婦は、その男女関係が夫婦であることを外観上からは知りにくい面もあります。

そのため、損害賠償請求の際に、不貞行為について故意又は過失のあったことが認められるか否かが問題になることもあります。

過去の裁判例においても、不貞行為のあった事実は認められたものの、不貞相手側に故意過失がなかったために不法行為が成立していないとして、損害賠償請求が認められなかったものがあります。

内縁における不貞の事例

内縁夫婦における不貞行為に関する事例を、ご参考として紹介させていただきます。

事例①(昭和53年)

婚約して結婚した夫が、婚約した後にも、婚約の事実を知りながら妻と性的関係を続けていた男性に対して慰謝料を請求しました。

裁判所は、婚約した一方側と通じて、他方側の婚約者に対して婚約の解消を避けられなくさせたり、婚姻してもそれを解消することをやむなくさせたり、婚約や婚姻関係が破たんする恐れのある状態になれば、その行為は、婚約における婚姻して夫婦として共同生活を送る権利を侵害するものになると示しました。

男性が妻と性的関係を持ったことは、夫が終生夫婦として共同生活をすることを期待する権利を侵害したとして、裁判所は男性の不法行為による損害賠償責任を認めました。

事例②(昭和48年)

内縁の妻が、夫と内縁関係になる前に、妻の父親と性的関係を持っていたことを夫に隠していたとして、妻とその父親に対して慰謝料請求をしました。

裁判所は、父子(男性の妻)間に性的関係のあることを夫に隠していたことは適法行為ではないが、父子が夫に事実を告げることはできないことであり、そのことに違法性はないとし、慰謝料請求を認めませんでした。

事例③(昭和33年)

内縁関係が悪化して別居した後、妻がほかの男性と性的関係を持っていたことについて、夫が妻と相手男性に対して慰謝料請求をしました。

夫婦が別居して1年半も経過した後の性的関係でしたが、裁判所は、夫婦関係が断絶していたわけではないとして、妻と相手男性への夫からの慰謝料請求を認めました。

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