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失業、病気、再婚などの事情変更

事情の変更があったとき

公正証書に養育費の支払い契約を結ぶことで、養育費の条件が父母の間で固まります。ただし、養育費の条件を定めたときには予測できなかった事情が将来に生じたときは、父母の間で条件の見直しについて検討します。父母の話し合いで見直しが決まらないときは、家庭裁判所における調停又は審判によって養育費の変更を確認します。

予測できなかった「事情の変更」

養育費は、対象となる子どもが経済的な自立を期待できるようになるまで支払われ続けることから、その支払期間は長期に及びます。

そのため、父母の間で養育費の支払い条件を定めたときに前提とした双方の収入、家族などの事情は、その後に変化することもあります。

このことは、対象となる子ども本人にも、その成長する過程で起きてきます。

養育費は、父母双方の収入又は資産に照らして公平な分担となることが望ましいことから、取り決め後に父母の一方又は双方の事情が変わることがあれば、条件を見直すことによって父母間の公平性を保つことが求められます。

そのことから、離婚する時点で養育費の条件を定めても、その条件が将来に向けて固定化されることにならないという養育費の仕組みを、父母の双方とも理解しておくことが必要になります。

そうした理解を欠いていると、養育費の条件を変更する必要があるときに、父母間で話し合いができず争いになってしまう恐れがあります。

では、具体的にどのようなことが起きると「事情の変更」に当たるとして養育費が見直しされることになるかは、以下のような事情が例として考えられます。

  • 支払い義務者が再婚したことによって、その扶養家族数が増えた。
  • 支払い義務者が失業したことで、養育費を負担できなくなった。
  • 支払い義務者が病気になって働けなくなり、養育費を負担できなくなった。
  • 権利者が再婚して、子どもと新しい配偶者の間に養子縁組が成立した。
  • 当初の予定が変更となり、子どもが大学に進学することになった。
  • 子どもが自動車事故に遭ってしまい、大きな入院費用が急に必要になった。

上記のような事情が生じたときは、前回の取り決め時には織り込まれていない事情として、養育費の月額、終了の時期などを父母の間で改めて話し合うことになります。

父母だけでは話し合いがつかないときは、家庭裁判所に調停又は審判を申し立て、裁判所で養育費の支払い条件の見直しを決めることになります。

養育費の条件を定めた公正証書、調停調書、審判書があっても、その作成がされた後に事情の変更が生じたことが認められると、養育費の条件が見直されることもあります。

なお、養育費の条件変更が確定するまでは、前回の合意条件が効力を持っています。本人の判断だけによって養育費の支払い条件を一方的に変更することは認められません。

事情の変更

合意した養育費であっても、事情の変更があると見直しが必要になります。

父母間の話し合い

事情の変更があったことで養育費に関して取り決めた条件について変更したいときは、父母の一方から他方に対して条件の変更を話し合いたい旨を申し出ます。

父母の話し合いで変更について解決することは条件の変更が早く可能になりますので、申し出する側には望ましい解決方法になります。

条件の変更を受ける側としては、新たな負担が生じることになるため、積極的には話し合いに応じないことが考えられます。

変更を申し出た側は、前回の契約時から変更となった事情を分かりやすく誠意をもって相手に説明することで、変更に理解を得られるよう努めなければなりません。

現実には、離婚後に養育費の条件を話し合いで変更することは容易でないと思います。

相手が話し合いに応じなかったり、話し合いには応じても変更することに納得せず、互いに条件面で歩み寄ることも難しい状況にあることもあります。

離婚後の父母の話し合いは上手くすすまないとの話を聞くこともよくあります。

金銭の支払い条件を変更する取り決めになるため、双方ともに容易には条件面で譲歩をすることができないことも当然であるかもしれません。

父母の話し合いがこう着したときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

公正証書契約での対応

事情の変更が起きたとき、離婚 公正証書で定めた養育費の契約でも変更される余地のあることは、専門家であれば知っていることです。

しかし、はじめて離婚することで公正証書に養育費を定めるときは、契約をすることで養育費の条件は確定し、その後は変わらないと考えてしまう方もあります。

そのため、事情の変更が起きたときには公正証書で定めた養育費の支払い条件でも変更される余地のあることを、公正証書で契約する父母に理解してもらうため、公正証書にそうした旨の記載をすることもあります。

一例ですが、『将来の物価変動、父又は母の再婚、失職その他の事情の変更があったときは、父母は養育費の変更について誠実に協議して解決する。』というような記載をすることで注意を促します。

もちろん、こうした記載が契約書になくても、養育費の考え方から、事情の変更が起きたときには養育費の変更について協議することができます。

再婚に関する誤解

女性は離婚の成立から100日間の再婚禁止期間がありますが、離婚した後に再婚することは自由であり、再婚の可能性は男女ともにあります。

養育費の支払いについて話し合うなかでは、子どもの監護親である母親が再婚したら養育費の支払いを止めるとの条件を父親が求めることが多くあります。

父親の気持ちとしては、再婚した後も養育費を支払いたくないということなのですが、法律上の考え方では、母親の再婚だけでは養育費の支払いを止める理由になりません。

母親が再婚をして、子どもが再婚相手と養子縁組をしたときには、養育費を止められる可能性がでてきます。

実父よりも養親の方が扶養義務の順位が高く、優先すると考えられているためです。

ただし、そのときでも、養親が子どもを扶養できるに足りる経済力を備えていることが前提の条件となります。

いくら養親ができても、養親に子どもを扶養する能力がなければ、養育費の支払いを止めてしまうことで子どもの生活が困窮してしまいます。

こうしたことは離婚知識として知られていないことがあり、間違った理解を前提として父母間で養育費の条件を定めることも起こります。

変更条件を確認する

父母間の話し合いで養育費の支払条件を変更することに合意できたときは、合意した内容を公正証書に定めておきます。

そうすることで、変更後の養育費の支払い条件を確定することができます。

また、条件を変更する理由が一方の再婚であるときは、養育費のほか、面会交流の実施条件も変更することがありますので、話し合って変更した条件を公正証書の利用などによって確認しておきます。

なお、家庭裁判所で養育費の条件を変更したときは、家庭裁判所により調書又は審判書が作成されますので、父母で変更契約書を作成する必要はありません。

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