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協議離婚で定める条件

各夫婦によっても定めることが必要となる条件は異なりますが、代表的な離婚条件として、親権・監護権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などがあります。協議離婚では、これらの条件を、基本的に夫婦の話し合いで定めることになります。

代表的な離婚条件

協議離婚するときは、夫婦の間に生まれた子どもについての親権、養育費ほか、婚姻中にできた夫婦の財産の清算方法などについて、夫婦が話し合いによって整理して、そこで決めた内容を離婚 公正証書など契約書に定めることが行なわれています。

公正証書で離婚条件を定めるときは、個々の離婚条件を明確に定めることになります。

以下では、離婚契約で定められる典型的な離婚条件について簡単に説明をしています。

離婚条件

夫婦ごとに取り決めるべき離婚条件は違いますが、主な離婚条件として次のものが挙げられます。

  • 親権・監護権
  • 養育費
  • 面会交流
  • 財産分与
  • 離婚の慰謝料
  • 離婚時の年金分割

親権・監護権

夫婦の間に未成年の子どもがいるときの離婚では、すべての未成年の子どもについて、離婚の届出のとき、夫婦のどちらか一方側を親権者に指定しなければなりません。

母親側を親権者に指定することが多いですが、離婚時における親権者の指定は夫婦の合意だけで定めることができるため、父親を指定することもあります。

この親権者の指定は、協議離婚の届出において必須となる手続きであることから、夫婦の話し合いで親権者を決められなければ協議離婚をすることができません。

離婚後は、父母のどちらか一方の単独親権に

夫婦が法律上の婚姻関係にある間は、夫婦に生まれた未成年の子どもにかかる親権は、両親が共同して行使することになっています。(これを「共同親権」といいます)

親権とは、未成年の子どもの身の回りの世話やしつけをしたり、住まいを指定したりする「身上監護権」と、子どもの財産を管理したり代理で契約をする「財産管理権」とから構成されています。

父母が婚姻している期間中は共同して親権を維持することになりますが、離婚することになると、父母のどちらか一方側だけを親権者として指定することになっています。(これを「単独親権」といいます)

このような法律上の制度になっているため、協議離婚届をするときは、必ず夫婦間の未成年の子ども全員について、それぞれ親権者を指定しなくてはなりません。

もし、夫婦間の協議で親権者を決められないときには、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、その調停において親権者を定めることになります。

このように、未成年の子どもの親権者の指定だけは離婚する手続きにおいて必須事項であることから、夫婦の間に親権者の指定に関して争いがあると、容易に離婚することができません。

夫婦の間に感情的な摩擦があるときは、親権者の指定が、離婚条件の全体の中で駆け引き材料になることも起きてきます。

そうして、親権者が決まらなければ、面会交流、養育費についての話合いも進展しないことになり、離婚の手続きをすすめることが困難になります。

夫婦における協議又は家庭裁判所での調停でも親権者が決まらないときには、離婚訴訟又は審判によって親権者を定めることを裁判所に求める手続きを行ないます。

家庭裁判所では「母性の優先」「継続性の原則」「兄弟不分離」などの各要素を踏まえて、子どもの福祉を優先して親権者を定めることになります。

対象となる子どもが乳幼児である場合には母親が親権者になることが多くあり、協議離婚においても母親が親権者になるケースが多く見られます。

もちろん、婚姻期間中における父母と子どもとの関わり、生育した環境、母親の実状なども考慮して、父親が親権者となるケースもあります。

また、一般には親権者が子どもを監護養育することになりますが、夫婦の間に合意があるときは、親権者と監護者を別々にする(「分属」といいます)こともあります。

離婚後にも父母が共同して子どもを育てる形となるため、父母の関係が良好でないときには、子どもの監護方針などを巡って争いが起きることも心配されます。

そのため、協議離婚では何らの制約も受けませんが、家庭裁判所の実務においては、親権と監護権の分属を基本的には認めない方向であるようです。

なお、離婚した後に親権者を変更するときは、家庭裁判所における手続き(調停または審判)を経ることが必要になります。

親権者を途中で変更することは、子どもにとって影響が大きいことになります。そのために、家庭裁判所が後見的な立場から親権者の指定に関与する仕組みになっています。

なお、監護者を変更することは、離婚後でも父母間の話し合いで定められます。

ただし、監護者の変更について父母間の協議で決着できないときは、家庭裁判所の調停又は審判で監護者を定めることになります。

子どもの親権者の指定

子どもの親権者を決めるところから、夫婦の間における協議離婚の話し合いは始まります。

養育費

離婚することに伴って夫婦(父母)の一方側が単独で親権者(監護者)になりますと、他方側は、離婚後における子どもの監護養育に必要な費用を負担することになります。

この子どもの監護養育に必要となる費用の負担金を「養育費」と言います。

離婚によって親権を失う親についても、親権者側の再婚等を機会とする子どもの養子縁組で子どもを養う新たな親が現われなければ、子どもの扶養義務を負う義務のあることに変わりはありません。

いくらに定める?

養育費は、毎月の定期払いが基本形となります。

養育費の月額をいくらに定めるかということは、法律で定められた金額があるわけではなく、父母の収入、資産などを踏まえて、父母の話し合いで決めることができます。

もし、夫婦で養育費を決めることができなければ、家庭裁判所の調停又は審判の制度を利用して養育費を定めることになります。

家庭裁判所の実務では、養育費算定の参考資料として、東京と大阪の裁判官等でつくった平成15年の養育費算定表(東京・大阪養育費等研究会)が利用されています。

養育費の算定表は、裁判所のホームページにも情報として掲載されており、広く一般に利用されています。

そのようなことから、家庭裁判所を利用しない協議離婚においても、夫婦の話し合いで養育費を定める際に、参考資料に利用されています。

算定表の養育費の月額は低いとも言われており、実際には、夫婦の協議で婚姻期間中の生活水準の実態も踏まえながら、算定表より高い水準の養育費を定める夫婦もたくさんあります。

算定表は養育費を算定するときの考え方の一つ、目安になるものであり、夫婦の話し合いでは、算定表の範囲内で養育費を定める義務があるわけではありません。

なお、離婚契約で定めた養育費は、契約した後においても、父母それぞれの事情が変更になったときは、当初条件から変更することもあります。

いつまで払う?

家庭裁判所の実務では、養育費の支払義務は子どもが成人するまでを基本としており、このようなことから、養育費の支払いは成人までという認識が一般にもあります。

ただ、子どもが早くに就職をして経済的に自立することになれば、養育費が必要でなくなることもあります。

また、成人を過ぎてからも四年制大学などに通っていることで経済的に自立できていなければ、養育費が必要になっていることもあります。

たとえば、子どもが高校を卒業して働く見込みであれば、養育費の支払い期限を「子が満18歳に達した後の最初の3月までとする」と決めておくこともできます。

また、子どもが大学を卒業することを前提とするならば、養育費の支払い期限を22歳後の3月までと定めることもできます。

家庭裁判所の調停、審判においても、養育費を負担する親側の収入や学歴などから、養育費の支払い期限を大学卒業までと認められることもあります。

最近は、高学歴化が進んできていますので、子どもがすべての教育を終えるまでに要する総額がかなり高額になってきています。

子どもの将来における選択肢を広げることを考えると、教育に要する費用を養育費のなかで十分に確保してあげることが大切になります。

ただし、子どもが大学などに進学することは、父母双方に考え方の違いもあるでしょうし、離婚のときにはあらかじめ詳細な条件を決められないこともあります。

そのようなときには、合意できる範囲内で契約書に定めておいて、詳細については子どもが実際に進学したときに父母間で大学等の進学費用も含めて養育費を協議して定める約束をしておく方法もあります。

将来において父母の間で協議するという約束は、模範的な取り決めに見えます。また、公証役場のひな型契約書においても、そのように定められています。

しかし、離婚した後の遠い将来において、あらためて父母の間で子どもの学費の分担について協議して決定することは、あまり容易なことではないと想像できます。

「公正証書で約束していた離婚後の父母間の協議で負担額が決まらなくて困っている」というご相談を受けることも珍しくありません。

離婚契約を考えるときに出来ることの範囲として、将来の学費負担の方向性だけでも夫婦の間で確認しておくと良いかもしれません。

面会交流

夫婦が離婚することで家族の共同生活が解消しますと、子どもは、親権者(監護者)側のもとで一緒に生活をすることになります。

夫婦の関係が解消しても親子の関係は解消しませんので、親権者でない側の親は、離婚後に子どもと定期的に交流することで、子どもの精神的な成長をたすける役割を果たすことができます。

離婚してからの非親権者(非監護者)と子どもとの交流を「面会交流」と言います。

面会の条件

面会交流に関する条件の定め方は、子どもの福祉のためにどうすることが良いのか、ということが基本的な視点になります。

実際には離婚で非親権者になる親の権利として捉えられている面もありますが、法律の考え方としては、面会交流は子どもの福祉に資することを基本とします。

離婚契約では、面会交流の頻度(毎月〇回くらい)を決めておくことが一般的ですが、具体的な時間、場所、宿泊の有無、立会者の有無、贈り物の可否などまで定めることもあります。

離婚した後にも父母間でコミュニケーションを良好にとれる関係があれば、面会交流の条件は大まかなことだけを決めておいて、詳細に関しては面会交流の実施にあわせて父母で適宜状況を見ながら決めていくことが現実的です。

あまり細かい条件をあらかじめ決めてしまっても、実際の面会交流を継続していく際に支障となってしまうことも考えられます。

子どもの健康状態、学校等の行事予定などによっては、毎回の面会交流を父母間で定めたとおりに履行できなくなることが起きてくるからです。

ただし、父母間で感情面の摩擦が大きくて、調整することが難しい場合には、最低限の枠組みをあらかじめ決めておいた方が良いことがあります。

離婚後にも父母が争うことで、子どもの精神面に悪い影響がでてしまっては困ります。

子どもを監護している親側が面会交流を認めたくないときには、家庭裁判所における調停、審判によって面会交流の実施方法を定めることもあります。

財産分与

夫婦が婚姻期間中に一緒に協力をして形成してきた財産は、離婚で共同生活を解消するときに清算をすることになります。これを「財産分与」と言います。

離婚のときに財産を分ける割合は、夫婦の話し合いで決めることができます。基本的な考え方としては、夫婦で半分ずつに分ける「2分の1ルール」というものがあります。

一般に、夫婦で一緒に貯めてきた預貯金などは分割することが容易な財産になります。

婚姻期間が長い夫婦では住宅を所有していることもありますが、住宅は半分ずつに分けることができないために、住宅については財産分与の定め方に工夫が必要となります。

対象財産

財産分与は、夫婦が婚姻期間中に共同して築いた財産として、預貯金、住宅、自動車、株式、保険、退職金などが対象になります。

夫婦のどちら側の名義であるかにかかわらず、共同形成財産の実体がある財産は、財産分与の対象になります。

ただし、夫婦が所有する財産でも、婚姻前から一方側が所有していた財産、親等からの相続で譲り受けた財産は、特有財産といい、財産分与の対象にはなりません。

預貯金債権など流動資産が多くあれば、財産分与は行ない易いと言えます。

しかし、現実には主な夫婦の財産が住宅だけであるケースも多く見られます。このようなときの財産分与では、その対応において難しい面もあります。

住宅の財産分与では、その住宅に関するローンの有無とローン契約の形態などが整理において課題になることもあります。

離婚時の住宅の所有者名義と離婚後の使用者が異なることもあり、このようなときには離婚契約において双方の権利関係を明確にしておくことが求められます。

また、離婚時における借金等債務についても財産分与と合わせて整理、清算しておくことになります。

離婚の慰謝料

協議離婚をすることになった原因・理由が夫婦の一方側にあるときには、離婚の際に、原因等のある側から他方側に対して慰謝料・解決金が支払われることがあります。

夫婦双方に離婚に至る原因となる何らかの行為があるときには、離婚になったことに主に責任のある側が慰謝料を支払うことになります。

婚姻生活をやむなく終了することになったことで受ける精神的苦痛に対しての金銭の支払いとなるのが、離婚の慰謝料です。

慰謝料の金額は、婚姻期間、離婚原因の重大性、双方の経済力、小さな子どもの有無などの様々な状況を踏まえて定めることになります。

慰謝料の額

慰謝料の額を定める計算式はありませんので、協議離婚では、夫婦の話し合いによって金額を定めています。

一般に、数十万円から500万円までの範囲内で、200万から300万円を中心帯として、離婚時における慰謝料が定められています。

慰謝料は、離婚に伴い有責配偶者から受けた精神的苦痛に対する損害賠償金になりますので、いくらで定めても自由であると言えます。

夫婦の話し合いで慰謝料額に折り合いがつかないときには裁判所で定めることになりますが、裁判所の実務では、離婚原因のない側が受けた精神的被害の度合い、婚姻期間、未成熟子の有無、双方の年齢、慰謝料を支払う側の収入、資産などをポイントとして慰謝料額が定められることになります。

離婚時年金分割

婚姻期間中の夫婦が納めた厚生年金(旧共済年金も含みます)の記録を、離婚のときに一方側から他方側に付け替える手続きを「離婚時年金分割」と言います。

年金分割は法律でルールが定められている制度になりますので、所定の手続きに従って分割請求をすることになります。

年金分割の制度には「合意分割」と「3号分割」との2つの区分があります。

年金分割は、離婚のときに夫婦の間で金銭の授受が行なわれるわけではありません。

年金事務所に離婚後に分割請求の手続きをしておくことで、年金の受給時に分割結果が反映されることになります。

合意分割と3号分割

合意分割は、年金の2階建て部分についての婚姻期間中における保険料納付記録を分割の対象とします。

保険料納付記録の多い側から少ない側に、記録の分割が行われることになります。

「合意分割」と言われるとおり、夫婦間の話し合いによって分割について合意します。

もし、夫婦の間で話し合いがつかなかったときには、家庭裁判所における調停、審判によって分割を定めることになります。

分割する割合は、最大でも2分の1までとなります。

分割できる年金分割の割合は「年金分割のための情報通知書」を確認することになり、年金事務所に請求することで情報通知書の交付を受けられます。

情報通知書の交付までの所要期間は各事務所によって異なりますので、取得を急ぐ場合には各年金事務所へ電話により確認しておくことをお勧めします。

3号分割は、配偶者の扶養になっているものに適用されます。2階建て部分に対して、自動的に2分の1に分割する制度です。

分割の対象となる期間は、平成20年4月1日以降の婚姻期間になります。

3号分割は分割割合が2分の1と定まっているため、適用の対象になっていれば、夫婦での合意を得る必要がありません。また、合意分割とあわせて利用ができます。

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